彼岸　The Other Bank

解説

蒋 越の「彼岸」は、牟 森（モウ・セン）演出による同名の実験劇の、リハーサルから公演、そして関係者のその後の生活を追った二年間の記録である。出演者（ほとんどが北京では新人で、俳優志望）は牟が新しい劇のために作り上げた独特の世界にのめりこむが、舞台が終わってから外の現実によって自分の夢を打ち壊されるのである。蒋のカメラは、彼等を巧みに導いて自分達の希望やフラストレーションについて率直に語らせ、今日の中国の若者の一面を感情豊かに描き、見ている者の心に迫る。
（「山形国際ドキュメンタリー映画祭95」カタログより）

 

Director’s profile

蒋 越　Jiang Yue
1962年生まれ。88年に中国戯曲学院文学部を卒業。その後、北京映画製作所に所属し、劇映画の製作に従事。91年から自主製作映画のプロデューサーとしてドキュメンタリーに挑み始める。主な作品に「喇嘛蔵戯団（ラマ僧によるチベット芝居の一座）」（91年）、「八角街（バルコル）」、「拉薩雪居民（ラサのシエ広場の住民たち）」「天主在西蔵（チベットのカトリック）」（92年）。